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尊敬する世界リーダーの皆様、各国代表者の皆様、そして世界市民の皆様。
私たちは今、世界の安定を脅かす未曾有の課題に直面しています。エネルギー危機、気候変動、人口増加、そして文化的対立。これらの課題に対し、時代は我々に新しい社会システムを求めているように感じております。このような時代だからこそ、私は「文化」の重要性に着目したいと思います。文化は、人々を結びつけ、相互理解を深める力を持っています。しかし、文化をどのように捉え紡いでいくかについては、深い考察が必要です。


伝承文化と伝統文化

私自身、長年にわたり日本の伝統文化に深く携わってきました。特に茶道である煎茶道黄檗売茶流 家元の経験を通じて、文化と伝統について多くを学びました。文化には「伝承文化」と「伝統文化」と云う二つの異なる概念が存在します。伝承文化とは、過去に行われたことを寸分違わず繋ぎ、忠実に次世代に引き継ぐという考え方です。他方、伝統文化とは、それまでの時代で培われたパフォーマンスを次の世代が、叩き磨くという作業を通じて、崩れたものを壊していく在り方です。そのうえで、残ったもの、壊れなかったものと時代の価値観を改め融合させ紡いでいくという考え方です。このように繋いでいくことを伝統文化と言うのです。故に、私が大事に思っているのは伝統文化で、伝承文化には大した興味がないのです。ところが、茶道の世界に生きていると、その伝承をしたがる人が多い。私は常に伝統を叩き磨きます。私が家元として活動をはじめた時にまず取り組んだのは「正座」の廃止です。従来の形式を守るだけではなく、時代に即した形で文化を広く進化させていく必要があると感じたからです。このように、私は伝統文化とはただ守り続けるのではなく、時代に応じ更新されるべきだと考えています。叩いても壊れない「本物」だけを残し、時代と共に発展する文化が本当の意味での伝統なのです。

こうした背景を持つ私は、ingo PEACE.の会長として、従来の意味での保守的リーダーとして貢献するのではなく、さまざまな文化や価値観を調和させる「伝統的な和のコーディネーター」としての役割を果たしたいと考えています。ingo PEACE.は、国境や民族、宗教といった従来の枠組みを尊重しながら、各地域文化を融和させ、新しい時代を築くための国際非政府組織です。伝統を守りつつも時代に合わせて再解釈し、未来に向けて共に進化させるという考え方は、私の人生における一貫したテーマなのです。


すべては、エネルギー問題である。

私がingo PEACE.の会長として申し上げたいことは、地球上に存在する問題というのは、 様々な問題があるように見えますが、実はほぼ1つの問題だということなのです。地球上にあるあらゆる問題、それはすべて「エネルギー問題」として帰結するという事なのです。私は、この地球上にはエネルギー問題以外の問題は存在しない、と言っても過言ではないと考えています。気候変動の問題もエネルギーの使い方の問題であるし、原発事故もエネルギー、食糧の問題もエネルギーが姿を変えたものであるし、最も大きな問題は人口爆発というエネルギー問題として捉えているのです。そして、それらエネルギーをどうすれば世界の人たちへ上手く行き渡らせられるのかということ。これこそが、これからの地球が解決すべき「エネルギー問題」だと考えているのです。だから、戦争をやめろ!というお話をしようとしている訳ではありません。世界の人々がほぼ納得できる状態で、協調的なエネルギー配分が実現できれば、多くの問題は解決へと向かうと考察するのです。

現在は「エネルギーは限られている」という固定概念に基づき、国際間で協調しないという判断の末、戦争を通じそれらを奪い合うという手段が存在する世界です。結局のところ、戦争も多大なエネルギーのぶつかり合いで、お互いのエネルギーを消耗し、勝者が敗者のエネルギーを手に入れる。エネルギーというものは、平地化して配分するということが非常に難しいものであるが故に、戦争という手段以外で分配する事が難しいと考えてられて来ました。このエネルギーというものは、平地化と配分の難しさに問題があるのですが、解決の糸口となるヒントが一つだけあると考えるのです。それは、様々なエネルギーという概念の中で『文化・芸術が発するエネルギーだけが、何人も傷つけることがない』という点です。世界はこの『文化・芸術の発するエネルギー』にもっと真剣に着目すべきなのです。


『平和の定義』

大切なことは「人を傷つけないエネルギー」と「非常に傷つきやすいエネルギー」とを、 どの様にうまくマッチングさせて、地球および人類に満遍なく巡らせていくのかということです。私は、これが平和へと向かうエネルギーの方向性だと考えるのです。

私はingo PEACE.の会長として、『平和』とは『あらゆるジャンルのエネルギーが、生きとし生ける人々の元に届き、地球上にエネルギーのゼロ地点を作らない状態』であると定義したいと考えます。このことを『平和の定義』として世界へ提案し、合意いただけたらと考えております。あらゆる種類のエネルギーを保有している人たちが、この平和の定義に基づいて「エネルギーのゼロ地点を無くす」ということに協調する。そして、この過程で生ずる課題を協議選択し、段階を踏み協調戦略として共有し、そして具体性をもって可能なことからはじめていきたく思います。しかしながら、人間には欲もあるし、全ての人が納得のいくエネルギーの配分は、理想ではあるが難しいだろうとも考えます。神ならぬ人の身であるからには、既得権益を手放したくないという方々が存在することは、致し方ないことなのかもしれません。ただし、そういう方々には最低限、地球上に「エネルギーのゼロ地点が無い」ようにすることだけには責務を担っていただくようにお願い申し上げたい。地球上に「ゼロ地点を作らない」ことによって、約 80 億人の人類が一人残らず未来へ生きてゆくことが可能となると、私は信ずるのです。

実を申しますと、私は平和という言葉をこれまでほとんど使ってきませんでした。その代わりに『平安』という言葉を使ってきました。『人々の心の中の平安を祈る』これは日本の昭和天皇がおっしゃったお言葉です。推測ではありますが、昭和天皇ほど平和を希求した天皇はおられない。筆舌に尽くし難いご苦労をなさって、あの御方ほど平和を求められた方はいない。けれども、頑なに平和という言葉をお使いにならなかった。「人々の平安を祈ります」という言葉しか使われなかった。それはその時代、みんなが思っている「戦争と平和」のような、戦争の対義語、戦争と戦争の合間に一時訪れる状態が平和なのではなく、「恒久的な平和」を求められてきたからなのでしょう。故に「平和」という言葉を易々とお使いにならなかったのではないかと、私は思うのです。私は日本人としてその思いを受けながらも、平和とは本当は何なのかを考えました。ここまで考えて、「今まで誰も平和を定義してこなかった」ことに気が付いたのです。

そこで、今回ingo PEACE.として、先述の通り「平和」を定義させていただきました。しかしながら、これが唯一正しいと言っているのではなく、平和の考え方における一つの提案です。故に、皆さまもこれを機会に「平和の定義」について議論いただき、別のもっと相応しい定義が見つかったら、我々にも聞かせていただきたいのです。そのうえで、もし具体的な定義がなされないとするならば、平和というものを皆で一度定義しようじゃないかという試みなのです。そして、その定義に合意できそうならば、ぜひ共に「平和」を実現していこうではないか、という提言なのです。


エネルギーは巡るもの

さて、ここで平和の根源たるエネルギーの性質について考えてみたいと思います。エネルギーというものを考えるにあたり重要なことは「エネルギーは本来消費するものではなく、カタチを変え宇宙を循環しているもの」すなわち、エネルギーは人やモノを経由し、カタチや状態を変えて、宇宙を巡り続けるものなのだという認識を新たにするということなのです。今世界で話題となっている CO₂(二酸化炭素) 問題も、CO₂ を エネルギーとして循環させていく方法を模索することで、解決に向かうのではないかと考えるのです。CO₂というカタチで大気中にエネルギーを留めていることに問題があると考えます。

たとえば土壌は、大気の吸収力の約 6 倍以上、植物の吸収力の約 4 倍以上 CO₂ を結合貯蔵できるのです。本来土壌はCO₂を抱きかかえ活用する能力を持っています。しかしながら、約80年間に渡って大量に化学肥料や農薬を世界の土壌に投入し続けたせいで、 炭素貯留を担う土壌内微生物が死滅してしまい、逆に土がCO₂を放出する側になっているのです。一方で、森林を植える努力をしながら、他方で、CO₂吸収力が約 4倍以上ある大地を化学肥料で劣化させ、化学肥料なしでは作物が十分に生産できない依存的土壌へと作り変え、地球の砂漠化や気候変動を推し進めている。この行為は矛盾そのものであり、人間のエゴによりエネルギーの循環を止め、地球のエコシステムが壊されている顕著な事例だと私は見ています。そもそも緑を破壊したのも人間で、CO₂を放出しているのも人間です。地球の目から見たら、エネルギーの循環を止めている張本人は人間だという認識なのではないでしょうか。「エネルギーは消費されず、循環する」これこそが、地球存続のために学ぶべき調和哲学の基礎だと思うのです。


交流なき文化は枯渇する

2024 年 9 月 1 日 ingo PEACE.が窓口となり、ミャンマー連邦共和国へアメリカ合衆国からの医療支援物資を(ミャンマー赤十字社を通して)届けることにはじめて成功しました。 物資を配分することは、「ゼロ地点を無くす」という意味において、とても重要なことで すが、近い将来、文化・芸術とを合わせて届けていくことが、大切になると我々は考えています。

私は、社会文化の成熟を促すことによって、最も大きなエネルギー問題である人口爆発が抑制されると推察しています。実際、人口爆発は発展が途上の場所で起きる傾向があります。事実G20の国々は人口爆発をしておらず、日本も人口減少に歯止めがかからない状況です。もちろん経済発展や社会システムの側面もあります。しかしながら、同時に文化的成熟も大きな要因であると考えるのです。経済発展と同時に社会文化が成熟し、故に文化・教育へ向けられるエネルギー割合が増大していく。ということは、社会的成熟が求められるところへは、文化と共に国際支援を行うことによって、人口爆発の起因となるエネルギー活動ではなく、文化に呼応するエネルギー活動へ向けていくことで、新たな社会文化を生み出し、適正な地球人口へと自然に向かうと考察しています。もちろん、それが実現するのに時間はかかります。例えば、発展途上国や最貧国の平均寿命を考えると、やはり35~40年ぐらいはかかるだろうと考察します。その時、人口爆発が止まり、減少傾向を示すということになったら「文化の発展を促す」こうしたエネルギー支援を続けていけば、戦争を起こすことなく、地球に住む人の割合が適正へと向かうと考えるのです。こうして文化に対するエネルギー量を増大していくと、独自の文化が発達し、文化と文化の交流が生まれ、差別ではなく、それぞれを尊重し合いながら団結するという方向に昇華していく。別の視点から言うと「交流なき文化は必ず枯渇する」ともいえます。故に、文化交流を創造的に行うことで、文化は人類にとって調和的役割を果たしてくれると思うのです。これが「ingo PEACE.」が考える1つの方向性なのです。

歴史的に見れば、このことはインカ文明やアステカ文明が、四大文明を基礎とする我々の生活様式に影響を与えていないことを見れば明らかです。インカ文明やアステカ文明が四大文明と交流しなかったのは、もちろん記録する紙がなかったとか、交流できなかった理由はいくつか考えられるのですが、もしこれらの文明が四大文明と交流していたら、我々の科学や文化も相当変わっていただろうと思うのです。なぜなら、例えばインカ文明には明らかに脳外科手術をした跡がある頭蓋骨が残っている。既に600年前に脳外科手術をしていたのです。四大文明を基礎にした我々の文明文化の中で、脳外科手術がはじまったのはほんの近代になってからのことです。それを考えただけでも、全く違う医学の世界になっていたかもしれない。また、鉄が存在しないにもかかわらず、幅4メートルの織物を織った痕跡もある。現在でも、どうしてあのような織物が作られていたのかは実は分かっていないのです。

私は、異なる文化と文化が交流することは、文化間で影響を与え合い、人類の幸せにつながるとてつもない可能性を内包していると考えるのです。故に、丁寧に支援を行う、丁寧に文化交流を行う、芸術交流を行う、この誰も傷つかない文化というエネルギーで、物質的で傷つきやすいエネルギーを包み込んで配分して行こうということなのです。


交流のエネルギー

文化や芸術交流が世界へさらに拡がったら、どういう世界が実現されるのか。実は、文化の場合はゼロ地点を「無くす」ことではなく「交流」の創造なのです。交流を促し、調和を目指していく。これこそが「交流なき文化は枯渇する」という人類の反省に基づく共生哲学になるのです。そして、国際協力などの動きが少々ぎこちないのは、限られたエネルギーの奪い合いの結果、奪われ不足したエネルギーをただ補っている様に感じるからです。それでは国際食糧支援などで送った食エネルギーが、人口爆発の引き金となる悪循環を引き起こしてしまう。故に、文化交流支援を含む国際協調戦略を「ingo PEACE.」と共に築いていきませんかという想いでおります。


垂直から水平へ

また、従来の国際協力はリーダーシップを持つ国や組織が主導し、他国を指導するという「垂直的介入」に依存してきました。しかし、現在のグローバルな課題に対応するためには、もはやこのモデルは有効ではありません。ingo PEACE.が目指すのは、指導者が上から物事を決定するのではなく、各国や各地域が対等に協力し合い、共に問題を解決していく「水平的介入」であり、これこそがingo PEACE.が目指す「国際協調戦略」なのです。


「ingo PEACE.」の使命

ingo PEACE.の使命は、エネルギーのゼロ地点を無くし、すべての人々が生きていく為のエネルギーを確保できる世界を実現することです。食糧、医療、情報、文化といったエネルギーが配分される社会を目指し、そのために必要な国際協調を皆さまと共に促進していくことです。
ingo PEACE.の主な活動は4本の柱で成り立っています。

  1. 安定した食糧供給を目指し国際連携を基盤とする農地の確保、安全な食糧生産支援、生産技術の発展支援を行う「国際食糧支援」
  2. 地域・国々を問わず、安定した医療体制構築に寄与するため、活動実績ある団体と連携し実施する「国際医療支援」
  3. 課題解決に必要な情報収集と協議を支援し、メディア運営を通じて世界の声を届ける「国際情報支援」
  4. より多くの人が ingo PEACE.の活動に参加できる機会を設けるとともに、社会貢献(ソーシャルグッド)をより身近に感じていただけるよう促す「社会事業支援」

この4つの支援事業は、すべての人々へ「生きる力を生み出していく」という考えに基づいています。これらの活動を世界へ届けることで、弱き者の生きる命を守るということを実行に移していく。それが ingo PEACE.の目標であり、世界のエネルギーゼロ地点が平地化された状態を、ingo PEACE.では「平和」と呼びたいと考えるのです。


おわりに

世界ではこれまで、貨幣価値がほとんど無くなったり、大部分の土地が焼け野原になったり、社会システムの破壊と創造が繰り返されてきました。現在世界を動かしている社会システムは、第二次世界大戦終結後に生まれたシステムです。1945年の時点では、そんなに悪いものではなかったのでしょう。だから世界はここまで発展しました。しかしながら、現行のシステムは約80年を経て制度疲労を起こし、既に現行のシステム上には解決策を見いだすことはできません。これを解決するためには、システムそのものを一度作り変えることを地球全体でしなければならないでしょう。冒頭に述べた伝統文化の如く、これまでの時代で培われたシステムを、次世代が叩き磨くという作業を行う。そして、その作業を通じて崩れたものを壊し、人間を信頼する勇気を持って、大胆に変えていく。システムを変える上で根本概念となる考え方が、今回 ingo PEACE.が提起させていただいた「平和の定義」であり、こうした声を世界へ投げかけてゆく存在としてingo PEACE.があるのです。そして、皆さまと共に「新たな国際協調戦略」そのものを築いてゆこうではありませんか。                              

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